Special Interview

マンガ

和とストリートファッションの折衷をテーマに創作活動を展開する新進気鋭のイラストレーターさくしゃ2先生。
2021年4月よりフリーランスとしての活動を開始、ライトノベルやソーシャルゲーム、VTuber等様々なキャラクターデザインを中心に、グッズやアパレルのデザインも手がけており、秋葉原、名古屋、大阪梅田の3都市で単独POPUPの実施や、ヴィレッジヴァンガード・WEGOとのコラボ展開、スモールエスの表紙を飾るなど活動の幅を広げています。
自身のTwitter・インスタグラムの総フォロワー数は80万人を突破、日本のみならず世界の注目を集めています。

そんなさくしゃ2先生に、パンフレットの表紙を描いて戴きました。
先生は、『普段どんなことを考えながら制作をしているんだろう?』というわけで特別インタビューに答えてもらいました。

独自にこのキャラクター背景の設定は特になくて、
見た人が想像してくださればいいかなという想いで描いています。

―ご依頼させていただいた時の感想とヒューマンアカデミーのイメージはどのようなものでしたか?

4年位前に横浜校の体験授業を受けさせていただいたことがありまして、
私がこうしてパンフレットを描く側として携われることになって、非常に感慨深く思ってます。

―キャラクターデザイン、世界観などどのように設定、イメージをされていきましたでしょうか?

普段からイメージとかは特にしていなくて、キャラクターの背景とかも特に無く、見た人の想像に委ねるようなイラストで描いてます。
最近、流行っているコンテンツは、バックグラウンドまで詳細に練り込まれたタイプと、キャラクター設定だけ触れて、あとは自分で想像してねっていうタイプの2つがあると思っています。
私はどちらかと言うと後者で、見た目だけ提供して、その他のことは見た人の想像に任せるタイプの作家だと思います。
今回の表紙も、私が独自にこのキャラクター設定の背景はなくて、見た人が想像してくださればいいかなという想いで描いてます。

―今回イラストで悩んだ点と、こだわった点はどこでしょうか?

ラフの段階で、依頼内容に沿いつつ自分らしさをどう表現するかを悩みました。
こだわった点はキャラの配置位置ですね。文字が入るので、文字が入る余白を残しながら、文字が入らなかった時の見栄えも考慮してキャラクターを置きました。

―自分らしさを一番出せるイラストってどういったイラストになりますか?

和風イラストは結構強いと思ってます。裏を返すと、洋風の中世ヨーロッパ、フランス、宮廷とかいう依頼を稀に受けるんですけど、苦手意識がありますね。通常の依頼の3倍ぐらいの時間をかけても、自分の納得できるクオリティを出しきれないみたいな(笑)そんな感じですね。

ー先生は結構資料をしっかり見るタイプですか?

見ますね。以前に産業革命時のイギリスの絵を描いてみたいな話が来た時は、Amazonで1万円くらいの資料を何冊か取り寄せて読んだりしてました。写真だけじゃ足りないなって。
私は歴史学を専攻していたので、歴史系だと私の友達からツッコまれるんですよ。
「ここの時代はこんなもんじゃない」みたいな指摘が来るので、丁寧に確認するようにしています。

ー時代考証が入る?

そうなんですよ。(笑)

ー和風、洋風で得意不得意がある、というのはそういうものなのでしょうか?

私自身が和風テイストに強い関心を持っていたので、洋風のデザインストックが少なく、どれがいいのか悩んでいます。なので、洋風のデザインで人気なものがよくわからず...。好きな漫画もNARUTOやBLEACHが好きで、洋風の世界観も漫画もあまり触れていないんですよね。
ただ、洋風がちょっと入りつつある和風デザインであれば、かなり見てきたので得意です。

イラストをグッズ展開できることも視野に入れて描いています。

―作品の特徴として、和の要素やボディーペイントなのかなと思っておりますが、
 作風は最初からでしょうか?それとも徐々に固まった感じでしょうか?

和風が好き、というのは昔から一貫していたのですが、それを作品として発表する、と決めたのは2019年あたりからです。それまでは、好きだけどそれをイラストとして作品にして世に受けるような形に出す、とは全く考えていなくて。あくまで自分の趣味の範囲でノートの端に落書きするくらい、でやってました。

ーそのころから描いているのは今の作風と変わらないでしょうか?

はい、2019年頃から今の作風と同じです。
それ以前は、全然関係無い、よくわかんないものを描いてました(笑)
大学在学中なんかは歴史を専攻していたので、歴史上の偉人などを描いて遊んでましたね。

―男性と女性で、得意、不得意はありますか?

実はどっちも苦手です。特に女性はまだ模索している途中なので、より一層正解がわからないので難しいです。
男性のイラストは私がけっこう好きな描き方で、好きな絵柄がそこそこ決まったので、わりと描きやすいんですけど。女性は何が正解なのかまだわかってないですね。

ーどちらも苦手、という答えは予想していなかったので、意外でした。

どちらも苦手ですね。人を描くのが苦手です(笑)

―口元に目線が行く作品が多い気がしますが、
 作品を作るときに、こだわる点、大事にする点を教えてください。

まず口元に目線が行く作品が多いのは、私の場合、目にハイライトを入れたくない絵師なので、目の情報を増やすことができないんですね。
目以外のところで情報量を増やさないと、顔に目線が行きづらい絵になってしまう。
結果的に、口とかの情報量が他の絵師さんより増えているんだと思います。

作品を作るときにこだわっている点は、絵のデザインとは少し違った話になるんですけど、私の場合はイラストをグッズ展開できることも視野に入れて描いています。
つまり二次展開まで考えて一枚のイラストを描いてます。
どういった点に注意して二次展開まで考えているかっていうと、若い女性が日常生活で使えるようなイラストを意識して描いてます。
若い女性でも、昼間にアフタヌーンティーを嗜むような女性ではなく、レッドブルなどを飲んでいるような女性に合わせやすいイラストです。例えば、ちょっとカジュアル寄りだったり、ストリート系の服に合わせやすいような。また、学生が授業中に持っていても大丈夫なイラストを考えていますね。

ーこだわっている点ははじめからでしょうか?

2019年から絵を描き始めて、1年しないあたり――、2020年くらいから自分のイラストがグッズ展開されても良いように描くようにしています。

生か死かみたいなところに立たされて初めて生きる方を選ぶってなった時、絵を描く道を選んだ感じです。

―何が決め手になって、今のお仕事に決められましたか?

大学3年生の年ですね。就活と卒論が入ってきて、いよいよ進路について真剣に考えなくてはいけないみたいな時期です。
卒論と同時に外国語でスピーチコンテストみたいなのが学内であって、その練習があまりにも辛すぎて、こういうことをやって一生を終えるんだったら、絵を描いていたい!みたいな。生か死かみたいなところに立たされて初めて生きる方を選ぶってなって、絵を描く道に行った感じです。

ー大変なスピーチの練習だったんですね。

壮絶でした。なんか嫌だーって言ってたら練習に付き合ってくれる台湾人の友達がいたんですけど、そんなに嫌なら好きなことやればいいじゃないみたいなことを言ってくれて、そこでやっと絵を描く道に気付くみたいな。あぁ、そうなのかって。
何が好きかわかんない人は、嫌なことを突き詰めると意外とわかったりしそうな気はしてます(笑)

―不安はなかったですか?

実はなかったです。むしろ勉強ばっかしている状態から早く抜け出したかったっていう思いだけでしたね。将来のことは取り敢えず置いておいて、眼の前の生か死かみたいなところから早く抜け出したかったですね。それが一番強かったです。
生きるか死ぬかなんで、恐怖心とか無いですね。
ただ、中学生から大学生くらいまで絵を投稿するサイトへの投稿は続けていて、上位の方の人気でいられたので、絶対成功するっていう漠然とした根拠の無い自信がありました。

ポケモンの仕事がすごくやりたいです。

―これからやってみたいお仕事などございますでしょうか?

ヒューマンアカデミー様とお話している中で恐縮なんですが、
ポケモンの仕事がすごくやりたいです笑。

ーキャラを作るとかでしょうか?

いや、違います。なんだって良いです。ポケモンっていうものに携われるならなんだっていいです。そこに痕跡を残すことが私の夢なので。
至る所で聞かれる度にポケモンやりたいって答えてるから、いつか来ないかなって思ってます。なんだっていいです。(笑)

ー一番好きなポケモンはいますか?

ブースターです。一番不遇で、皆になんか色々言われてて可哀想だけど、ブースターが一番好きです。

絵に関しては楽しくてやっているので努力は何もしてないです。

―イラストレーターの仕事の醍醐味・面白さを教えてください

自分の好きな仕事を、好きな時間に、好きなタイミングで、好きな量だけ受けることができることが醍醐味だと思います。
良くも悪くも、自分の仕事の評価が、自分ひとりに直結しているので、いい仕事をしたら全部自分の評価になります。

ー評価が全部自分に帰ってくるというところに緊張感などはありませんか?

無かったですね。全然無いです。
私はできるだけ見られていたいし、称賛されていたいし、みたいな人だったので、
中学生くらいからそんな感じで、怖いとかは無いですね。むしろどんどん成長していきたい思いがありました。中学生ながら多分大人が描いたであろう作品で、私よりずっと上手な、人気な人がいて、今に見てろよ!って思った、記憶があります。(笑)

ー負けず嫌いだったんですね。

そうですね。

―プロになる前とプロになった後で、考え方や意識の部分で変わった点はありますでしょうか?

絵に対しての意識の変化が結構あって、プロになったあとはクライアントと、顧客の反応をかなり重要視するようになりました。
アマチュア時代は自分のためだけに絵を描いていたことがほとんどだったんですけど、今は逆に自分のためだけに描くイラストは相当減っちゃいましたね。
趣味で描くイラストでも、二次展開まで考えて描いてるので、半分仕事、くらいですね。
また、人との交流は積極的にして、後進の育成、というものには携わって行きたいなと思ってます。
なるべく自分が得た知識は自分が出せるうちに、全部伝えていきたいなって思ってます。

―プロの今でも努力しつづけていることはどんなところでしょうか?

努力って苦労してやることだと思うのですが、それで言うと私は全然努力してなくて、
絵に関しては楽しくてやっているので努力は何もしてないです。
ただ、強いていうなら、午前中に起きる努力をしています(笑)。それは努力ですね。

ー仕事になっても、好きなことをやっているっていう感覚ですね。

苦労でもなんでもない、好きなことをやらしてもらえてるんだっていう感覚です。
だからこそ到達点がまだ見えない。ゴールが見えないからこそ頑張れます。

―これから絵、イラストなどのクリエイターを目指す方にむけて、コメントをお願い致します。

私は成人してから、独学で絵を描いて、こうしてお仕事を頂けるようになりました。
なので、専門の学校で学ぶのであれば、独学の私なんかよりもずっと成長できる環境に身を置けるってことは素晴らしくてとても素敵なことだなと思います。